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シルクロードの旅がもっと楽しくなる本

 作成:シルクロード雑学大学 代表長澤法隆

  趣味や特技・好奇心を生かしてシルクロードを楽しもう シルクロードは、シルクはもちろん、仏教の伝播、ガラスや陶器、果物や野菜もシルクロードの旅人と一緒に行き交っています。

  遠征に参加したメンバーに、バイオリンを手作りしている元校長先生がいました。そのメンバーと一緒に、ブハラ、アシガバード、サマルカンドで伝統的な楽器を売っているお店へ行きました。お店と話す中で、シルクロードの楽器は、桑の木を利用しているケースが多い事がわかりました。皮は、なまず、牛の心臓、蛇など意外な答えが返ってきました。音楽に関心のある人は、シルクロードを旅しながら、音楽の他に楽器の素材、楽器づくりの道具を通してシルクロードをライフワークとして楽しむこともできます。

  また、帰国後に中国の成都へ行く機会がありました。成都のガイドは、長安からヨーロッパに運ばれたシルクを産したのは、四川省だといいました。では、四川省に樹齢1,000年くらいの古木があるか、とたずねました。南部にあるけれど、受刑者が労働しているところなので、外国人を連れて行く事はできない、とのことです。シルクロードにある桑の木の古木を記録する、これもライフワークとなります。

  自分の好奇心や興味から、シルクロードに取り組みたいという人、以下の書籍をヒントにしてテーマを発見してみてください。
 (価格は、長澤が購入当時のもの)


【植物】
『シルクロードのアサガオ 花と人とのかかわりあい』山田正篤著
                                                 (学会出版センター)1300円
著書を読んで、アサガオの原産地はアジアだと始めて知った。万葉集に記されたアサガオ、イチジクはシルクロードの旅人であったことなど、植物を通してシルクロードを知るのに便利。学名もばっちり書いてあります。

『シルクロードに生きる植物たち』岩槻邦男著(研成社)1500円
中国のタクラマカン砂漠の植物に関しての記述があります。

『道端植物園 都会で出遭える草花たちの不思議』大場秀章著
                                                      (平凡社新書)760円
アシガバードにもネコジャラシがありました。日本には木か植物がたくさんあります。シルクロードの雑草を観察してみてはいかがでしょう。

『野菜の起源と分化』藤枝国光著(九州大学出版会)2800円
いきなり、キュウリの世界の生産量を示した上で、日本が消費量世界一であることからキュウリの伝播を教えてくれる。出だしが、農学を専門とする著者らしい。原産地、伝播、栄養など日常生活にも参考になりそうだ。

『野菜探検隊世界を歩く』池部誠著(文芸春秋)1600円
キャベツの故郷は地中海、シルクロードは野菜の道か、ジャガイモはアンデスの高山植物だったといった記述は、野菜の伝播を知る上で参考になる。原生地再現農法、野菜の故郷の条件を人為的に作って栽培するとミネラルも豊富でおいしい作物が採れるというのは、興味深い。

『野菜探検隊アジア大陸縦横無尽』池部誠著(文芸春秋)1600円
サツマイモを求めてメキシコ、フィリピン、ニューギニアやイースター島まで著者は出かける。しかし、なんといっても興味深いのは、ユーラシア大陸最深部、つまりビシケク、アルマトイ、ウルムチと野菜のルーツを求めて中央アジアを巡る場面。野生のネギを探している。野生のニンジンを発見したり、にんにくを追いかけたり。何気なく植物を見るのではなく、この本を片手に、野菜の故郷を求めてシルクロードを旅するのも面白そうだ。

『果物のシルクロード』城山桃夫著(八坂書房)2400円
ブドウやザクロなどは、西アジアからシルクロードの旅人と共に、中国、そして日本へと渡ってきた。果物の伝播の足跡を中国の古い文献を紐解きながら解き明かしてくれる。シルクロードでは、乾燥して干しブドウのようにして保存するのか、ジャムにするのか。どんな風にして食べるのか。どんな道具を使っているのか。そんな観察をしながらシルクロードを旅してみたいものだ。

【建築】
『シルクロード建築考』岡野忠幸著(東京美術)1200円
著者は建築家。蘭州から始まるシルクロードの建築物に関する案内は、シルクロードを旅したときに建築物を通して、文化や人々の往来の様子を知る知恵を育ててくれます。
『シルクロードの夢と現実 正倉院随想』李家正文著(鹿島出版会)1600円
正倉院の宝物を紹介しながらシルクロードを文物を通して知ることができます。著者は、新聞記者。

『中国大陸建築紀行』茶谷正洋・中澤敏彰・八代克彦著(丸善株式会社)
                                                                            2500円
著者は3人とも建築の専門家。1981年以降、ヤオトン考察団を結成して、何度か中国の建築物を巡礼した記録。パオ、日干しれんがの家もある。「建築家なしの建築」を専門家が巡っての観察は、細部に目が行き届いていて、建築物の観察眼を養うのに適している。

【宗教】
『仏のきた道』鎌田茂雄著(PHP新書)657円
著者は仏教史の大家。中国のシルクロードにある石窟寺院を紹介しています。石窟に描かれた仏教美術を通して、シルクロードの交流が読み取れるようになります。

【歴史】
『中国ペガソス列伝』中野美代子著(中公文庫)762円
中国史の大御所である著者による評伝文学。女帝武則天、楊貴妃、西太后、フビライハーンといった歴史上の人物を知ることができます。

【音楽・踊り】
『シルクロード楽器の旅』柘植元一著(音楽之友社)1650円
著者は、東京藝術大学の音楽学部の教授であり、イランのテヘラン大学へ留学し、イランの伝統音楽の研究をした経験を持つ。シルクロードの各地で、楽器を演奏する地元の人の様子を撮影し、この本で紹介している。

『シルクロードの響き  ペルシャ・敦煌・正倉院』古代オリエント博物館編、
                                              柘植元一監修(山川出版社)1619円
古代オリエント博物館・岡山オリエント美術館・新潟県立歴史博物館特別展のカタログとしてあまれた1冊。楽器はもちろんの事、楽器を演奏している傭やタイルや壁画も紹介している。巻末に楽器博物館を紹介している点はとてもありがたい。

『民族楽器大博物館』若林忠宏著(アートダイジェスト)1200円
世界各地の楽器を弾く楽器、叩く楽器、吹く楽器の三つに大きく分け、120種類。さらに、擦る楽器、振る楽器なども写真で紹介。文庫本サイズなので持ち運びに便利。

『幻の楽器を求めて アジアの民族音楽と文化探求の旅』
                                     田森雅一著(築摩書房)1100円
インド、アフガニスタン、チベット、雲南、パキスタンと著者は民族楽器を求めて旅をする。行き当たりバッタリではなく、具体的に楽器を求めて、演奏法を教えてもらう旅だ。最初に、アジアの4つの音楽文化圏の概念図、胴体に皮を張った楽器の分化の概念図、楽器の特徴を見るだけで、シルクロードを旅しながら、楽器のどこを観察すればいいのかよくわかる。新しい楽器を発見できそうな気分にさせてくれる。

【美術・工芸】
『ガラスの道』由水常雄著(中公文庫)540円
シルクロード各地、日本のガラスを紹介しています.ガラス工芸家の著者は、色は酸化コバルトによるとか鉄分によるとか詳述しています。遺跡で拾ったガラスが、古いのか新しいのか。この1冊が教えてくれます。

【料理・調理・食べ物】
『世界お菓子紀行』森枝卓士著(ちくま文庫)780円
フォトジャーナリストとして世界中を旅している著者による、世界各地のお菓子の紹介。素材、調理法、味など、シルクロードのお菓子を観する眼を養うことができます。