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「チャレンジ天山山脈ペダル越え」

概要報告

目次
走行コース全体図
日程
出発前の準備・安全対策
参加者
現地走行での安全問題・ヒヤリハット体験・健康問題
遠征報告概要
出発前に作成した情報
現地からのメールでの報告
参加者感想文

走行コース全体図
自転車で訪問した主な場所は中国のKashgar:カシュガル、Topa*:トパ(トルガト、Torugart Customs)、トルガルト、Kyrgyz:キルギスのTash Rabat:タシュラバット、At-Bashy:アトバシ、Kyzyl-Bel Pass:キジルベル峠、Naryn:ナリン、Ottuk:オトウック、Dolon Pass:ドロン峠、Kochkor:コチコール、Balykchy:バルクチ、Issyk-Kul:イシククル湖、Cholpon-Ata:チョルポンアタ、Ak-Bulak:アクブラク、Karakol:カラコル、Tamga:タムガ、Ton:トンです。

Ak-Beyit 白い墓地、聖なる墓地
Ak-Bulak きれいな泉
At-Bashy 馬の頭
Bel 平ら、山の斜面
Cholpon-Ata 金星の父親
Kara-Suu 黒い水
Kyzyl-Bel 赤い背中
Sary-Bulak 黄色い泉
Tuz-Bel 平らな背中


日程   2006年8月22日作成(現地走行結果のまとめ)

自転車走行は、Kashgar:カシュガルからIssyk-Kul:イシククル湖西端のBalykchy:バルクチまで(除く:Topa:トパからTorugart:トルガルト国境)とIssyk-Kulの北岸176kmと南岸42kmで計693kmであった。
ss ss sss ss ss s Stay in
Day 1 2006/7/30 Sun Air Narita 17:25→Beijin 20:05
(NH 955全日空) (Air)
s Beijin Hotel
s s sss sss s s s
Day 2 2006/7/31 Mon Air Beijin 07:55→Urumqi 11:50
(HU 7245:海南航空)(Air)
s Kashgar Hotel 
s s s Air Urumqi 14:45→Kashgar 16:25
(CZ 6805:中国南方航空)(Air)  
s s
s s sss sssss ssss s s
Day 3 2006/8/1 Tue sssss Sightseeing in Kashgar s Kashgar Hotel 
s s sss sssss s s s
Day 4 2006/8/2 Wed Bike Kashgar→Topa*:China Customs (60.7km) 60.7 Kashgar Hotel s
s s s Car Topa*→Kashgar s s
s s sss sssss s s s
Day 5 2006/8/3 Thu Car Kashgar→Topa*→Torugart Pass
(Chinese car) (168.7km)
s Tash Rabat Yurt
s s s Bike Torugart Pass→Kyrgyz Customs (6.4km) 6.4 s
s s s Bike Kyrgyz Customs→A(Kyrgyz Outer
Checkpoint:KOCP) (55.6km)
55.6 s
s s s Car A(KOCP)→Tash-Rabat (43.2km) s s
s s sss sss s s s
Day 6 2006/8/4 Fri Car Tash-Rabat→A(KOCP) s Tash Rabat Yurt
s s s Bike A(KOCP)→Turn-off→Tash-Rabat途中 (34.0km) 34.0 s
ss s sss sss s s s
Day 7 2006/8/5 Sat Bike Tash-Rabat→Turn-off
(15.7km)
15.7 At-Bashy Homestay
ss s s Bike Turn-off→At-Bashy (59.9km) 59.9 s
s s sss sss s s s
Day 8 2006/8/6 Sun Bike At-Bashy→Turn-off (7.7km) 7.7 Naryn Guest House
s s s Bike Turn-off→Kyzyl-Bel Pass (29.6km) 29.6 s
s s s Bike Kyzyl-Bel Pass→Naryn
(9.2km)
9.2 s
s s sss sss s s s
Day 9 2006/8/7 Mon Bike Naryn→Ottukの先 (39.9km) 39.9 Naryn Guest House
s s sss sss Sightseeing in Naryn s s
s s sss sss s s s
Day 10 2006/8/8 Tue Car Naryn→Ottukの先 (39.9km) s Kochkor Homestay
s s s Bike Ottukの先→Dolon Pass
(27.7km)
27.7 s
s s s Bike Dolon Pass→Kochkor
(57.4km)
57.4 s
s s sss sss s s s
Day 11 2006/8/9 Wed Bike Kochkor→ダム入り口 (44.5q) 44.5 Balykchy Homestay
s s s Bike ダム往復 (9.9q) 9.9 s
s s s Bike ダム入り口→Balykchy (16.7q) 16.7 s
s s sss sss s s s
Day 12 2006/8/10 Thu Bike Balykchy→Cholpon-Ata (79.8km)  79.8 Cholpon-Ata Homestay
s s sss sss s s s
Day 13 2006/8/11 Fri Bike Cholpon-Ata→Ak-Bulak (96.2km) 96.2 Karakol Homestay
s s s Car Ak-Bulak→Karakol(45km) s s
s s sss sss s s s
Day 14 2006/8/12 Sat Car Karakol→Tamga (43km) s Tamga Homestay
s s sss sss Sightseeing in Karakol and Tamga s s
Day 15 2006/8/13 Sun Bike Tamga→Ton (42.1q) 42.1 s
s s s Car Ton→Balykchy→Bishkek
(290km)
s Bishkek Hotel
s s sss sss s s s
Day 16 2006/8/14 Mon ssss Sightseeing in Bishkek s Bishkek Hotel
s s sss sss s s s
Day 17 2006/8/15 Tue Car Bishkek→Almaty (250q) s Beijin Hotel
s s s Air Almaty 16:20→Beijin 23:00
(4L 887:Air Astana) (Air)
s s
s s sss sss s s s
Day 18 2006/8/16 Wed Air Beijin 08:30→Narita 12:50
(NH 956:全日空) (Air)
s s
s s sss sss s s s
s 自転車走行距離計(km) 693.0 s
s 車での走行距離(km) 879.8 s
s 走行距離計(km) 1572.8 s
注:Topaとは
トパ、トルガト、トルガルトのいずれが正しい名前か。中国の旅行社CYTSによると次の通り。
・トパとはあの付近の地理上の名称であり、検問所(Customs and Passport Control)の名前ではない。
・この検問所の名前は英語ではTorugartであり、The Chinese Customs and Frontier Defence Checkpointである。
・しかし、地元の人や一部の外国人はTorugart検問所のことをトパと云う。
・(ただし、検問所の看板は中国語でトルガト(トルガルトではない)と書いてある。)


出発前の準備・安全対策
・トレーニングの実施
・現地地図による走行計画の詳細な検討・作成
・海外旅行保険への加入
・高山病予防薬ダイアモックスの服用
・出発から高地を離れるまでの禁酒・禁煙(成田からNarynまで)
・事故発生時に隊員相互の援助体制確認

参加者
・5名(男性4名、女性1名:平均年齢約60才(52-70才)
・女性一人は今年4月にMTBを購入した新人


現地走行での安全問題・ヒヤリハット体験・健康問題
・自転車走行に伴う事故はゼロであった。
・走行中に一番気をつけたのは犬であった。飼い犬であるが突然現れてすごい勢いで追いかけて来る。
・隊員の一人は右足首を軽くかまれた。(表面の薄い皮が少しめくれた程度。血は出ず。)
・狂犬病予防注射は計画的に日本で行っておくべきであろう。
・砂利道、浮いた砂利が表面に多量にある舗装道、アスファルトがなくなり固定した砂利・石が表面に出ている凸凹道、が全体の約2/3はあったであろう。
・良い道も突然悪路になる。日本の様な良い道路はまず無かった。
・そのため、パウダー状の砂や砂利に車輪を取られることはあったが、特に下りを慎重に走行したので、転倒・接触等の事故はゼロであった。
・健康問題では下痢・嘔吐で隊員2人が一時走行を中止した。一人は医師の診察・注射を受けた。現地での食物・健康・衛生管理が重要。


遠征報告概要

【タイトル】

シルクロード自転車旅行
天山山脈を越えてキルギスの草原をゆく

中国・カシュガル、トルガルト峠、キルギス共和国・ナリン、イシククル湖

【リード】
 20年かけて中国の西安とイタリアのローマを結ぶシルクロードの1万5千qを、自転車で見聞する「ツール・ド・シルクロード20年計画」。この夏は、中国のカシュガルを出発し、標高3752メートルの天山山脈を越えキルギスのイシククル湖をめざした。

 参加したのは、52歳から70歳までの男女5名。天山山脈を越えて、氷河に覆われた雪山を見ながら草原を走り、馬や羊の遊牧をしている人たちとの交流も楽しみながらのサイクリングをレポートします。

【本文】
 
朝日に向かって砂漠の中、上り坂をゆく

 中国の西の端にあるオアシス・カシュガル。キルギス、タジキスタン、パキスタン、インドへの道が交差する交通の要衝だ。

 カシュガルに到着したのは7月31日。メンバーは、事前に日本旅行医学会の認定医に、高山病を予防するダイアモックスを処方してもらい、標高3752メートルの天山山脈越えに備えていた。8月1日から、処方されている薬を服用して準備した。

 そして、8月2日8時15分、標高約1300メートルのカシュガルから、60キロ先にある出国手続きをするトパをめざして、ペダルを踏み出した。中国は、東西に約5000キロもあるのだが、全国で統一した時間を使っている。スタートは8時15分。だが、太陽の高さは7時前くらいに思われる。気温24度と肌寒い。新疆ウイグル自治区で最も大きなモスクであるエイティガル寺院から、行き交う車も少ない大通りに出て、東へ向かった。

 スタート直後は下り坂。だが、その後はずっと上り坂が続いた。ポプラ並木もない。朝早いので、沿道で声援してくれる子どもたちもいない。静かなツーリングだった。


 
国境の方から男性3人組のサイクリストがやってきた

 チャクマク河にかかる橋を渡って北上すると、ポプラ並木が続く。路面はきれいに舗装され、ごみも落ちていない。

 「国境の方からサイクリストが来る」
というメンバーの声。白人の3人組は、あっという間にカシュガル方面へと消えていった。まだ、国境が開く時間ではない。彼らは、トパで一晩過ごして、カシュガルをめざしているのだろうか。

 約50キロ進むと集落を抜けた。ポプラ並木とも別れを告げた。両側に広がるのは石ころだらけの砂漠。気温は38度。木陰もなく、厳しい走行となった。14時30分にトパに到着。だが、近くに宿泊施設はない。今度はバスでカシュガルのホテルに戻った。

 8月3日、カシュガルのホテルをバスで出発したのは9時30分。出国手続きを行っている役人と交渉する。だが、ここから約100キロメートル先にある国境までは、自転車での移動を許可できないという。バスで移動した。


「天山山脈越えペダル越え」は3回目のチャレンジ

 実は、1999年にも同じルートにチャレンジしている。同年は、洪水のためにここから先へ進めなかった。飛行機でぐるりと回って、キルギスを走った。2000年に再びチャレンジ。

 2回目は、国境の役人が手続きに手間取って時間切れ。「天山山脈ペダル越え」は、国境の手前56キロメートル、キルギス側約100キロメートルを残していたのだ。3回目のチャレンジ。今回も中国側の56キロメートルの空白地帯を埋めることは敵わなかった。

 トパから国境までのバスの旅は、13時から15時20分まで。途中の道路は狭い上に舗装されていない。大型のトラックが通過するたびに舞い上がる砂埃が、視界を遮る。自転車で通る場合には、かなりの注意と時間が必要なようだ。


キルギス人のガイドと一緒に60キロ3752メートルから3200メートルまで下る

 中国とキルギスの国境となっている標高3752メートルのトルガルト峠に到着すると、緑色のワゴン車が停まっていた。20代半ばの青年が走り寄ってきた。抜けるような青空。気温は17度。南の風が吹いていた。

 「キルギスを自転車で旅行する日本の方ですか」と問いかけてきた。ジャニベックさんという日本語ガイドだった。

 「入国手続きをするところまで、走ることができますか。写真を撮っても大丈夫ですか」と質問すると。彼は自転車でガイドするという。また、軍人の監視がないので、自由に写真を撮る事もできると言う。ありがたい。

 キルギス側の空白地。約100キロメートルを走ることができる。ジャニベックさんは、赤い中国製のマウンテンバイクで、わたしたちの先頭を走った。下り坂だが、ダートが続いた。時速15キロほどで進んだ。

 大型のトラックが通るたびに、砂煙を避けて、右へ左へと走行車線を変えた。

 出国手続きを終えたのは18時(中国時間。キルギス時間では16時)。しかし、チェックポイントまでは25キロも残っている。何とか、今日中にチェックポイントを出なければならない。明日の朝に戻って走行を再開したい。往来のトラックは無い。暗い山道をゆっくりと走った。チェックポイントへの到着は20時(キルギス時間)を過ぎた。バスに揺られて、キャンプ場のあるタシュラバットへ向かった。

 タシュラバットは、10世紀とも15世紀とも言われるキャラバンサライの遺跡だ。桂化木という化石を積み上げ作ったキャラバンサライの外観は、モスクのようでもあった。

 8月4日、チェックポイントまでバスで戻って走行をスタート。気温は17度。ユルタ(フェルトでできた移動式のテント。中国語ではパオと呼ぶ)の前を通ると、子どもたちが飛び出してくる。クッキーをあげると、馬乳酒をご馳走してくれた。馬に乗った人からは、チーズのような固まりを頂戴した。親切に出会いながら34キロほど走った。だが、雨が強くなった。気温も10度まで下がった。ゴアテックスの防寒具を着こんだが冷気が身にしみる。15時に走行を中止。タシュラバットのキャンプ場へバスで戻った。


朝日の光線で浮き上がる岩山を振り返りながら楽しんだ

 8月5日、7時30分出発。タシュラバットは、大きな道路から入った渓谷の奥にある。渓谷を下っていく細道は、岩山の形が荒々しく美しい。早朝の光線が陰影を浮き彫りにして、岩山は立体的に浮き上がる。じっくり見なければもったいない。停まっては振り返り、ゆっくりと坂道を下ることにした。

 大きな通りを走っていると、通りに羊毛を広げて叩いている。フェルトを作っているのだという。緑の草原に白いユルタが点在している。道路わきのユルタから子どもたちが勢いよく飛び出してくる。こんな光景が何度も続いた1日だった。アトバシは、麦畑に囲まれた小さな街。今日の宿はホームステイだ。

 8月6日、アトバシからナリンまで。46キロの走行は、麦畑、赤い岩山の尾根を進んだ。岩山に登ってみると、一面にハーブが広がっていた。遠くを見れば、氷河を戴いた天山山脈の山並みが美しい。

 馬に乗った10歳くらいの子どもたちと出会う。その度に、手綱捌きに感心した。自転車に興味を抱くのは、馬に乗れない小さな子供たちばかり。ちょっと休憩していると、嬉々としてよってくる無邪気な笑顔に囲まれた。十分にリラックスできた。

 8月7日は40キロほどの走行。雪山を見ながら舗装道路を走れるのがうれしい。それほど、ダートの連続はつらかったのだ。

 8月8日、山の間を進んで標高差500mのドロン峠をめざした。苦しみながらもペダルを踏んで進んだが、車が故障。峠の手前のユルタで、子どもたちの相手をしながらゆっくりとした時間を過ごすことができた。峠を過ぎてからは、川沿いの下り坂を、犬に追われたり、犬を追いかけたりしながら85キロメートル走った。左右の山並みはすっかりなだらかになった。リンゴの並木が始まるなど、風景は里の雰囲気を濃くしている。


ドイツやオランダのサイクリストにも人気のイシククル湖

 8月9日、コチコールからイシククル湖の脇にあるバリクチという街まで。川沿いの緩やかな下り坂をひたすら下った。バリクチの街を、魚のにおいが覆っている。港町なのだ。また、久しぶりに信号機を見かけた。せわしない都会の時間に舞い戻った気分になった。

 8月10日から4日間で、イシククル湖を周回した。所々、アンズとリンゴの並木が続く。ポプラ並木になったり、イシククル湖まで見通せる丘の上を走ったり。どこを走っていても、イシククル湖の青い湖面、氷河に覆われた雪山が見える。オランダ人の15名くらいのグループ、ドイツ人の3人組もイシククル湖を一周しているという。

 さて、湖の南側では、交通量も少なく、のんびりと走行を楽しむことができた。馬車と並んで走ったり、水泳を楽しむ子どもたちの甲羅干しに加わったり。イシククル湖の南側には、カザフやウズベクからの観光客も少なくのんびりとした時間が流れている。今回は、帰国の時間に合わせたので、1周約600キロメートルのイシククル湖の約250キロ自転車で巡り、後はバスで通り過ぎた。ゆっくりと流れる時間が気に入った。次回は、氷河や温泉も自転車で巡りながら、時間を気にしないで一周してみたい。
 

【コラム】
 
20分割して、誰もがチャレンジできるように工夫した『ツール・ド・シルクロード20年計画』

 「シルクロードを自転車で巡って、各国の歴史や民族に触れてみたい」という夢を抱いた人は多いことでしょう。しかし、「時間」や「仕事」を理由にして、夢にチャレンジすることを諦め、忘れてしまった人も多いことでしょう。そこで、シルクロードを自転車で見聞したいという夢を実現するためにちょっと工夫し、ルートを20分割、20年かけて見聞することにしました。また、仲間と一緒に夢を追い、チームで実現をすることにしました。自転車旅行を楽しくするために、研究者を招いて講演を聞いたり、国内でもサイクリングを楽しんでいます。

 来年は、春にイランのテヘランからカスピ海沿岸を経てタブリーズまで、夏にキルギスの山間部を横断する計画を準備しています。

エイティガル寺院の前を出発し、天山山脈ペダル越えはスタートした。

タシュラバット近くの細い道。両側に岩山が迫っていて美しい。道路わきの草原を自転車で走るのも気持ちよかった。

少年の操る馬車に追われる川原和子さん(60歳)。自転車でのツーリングの初心者で、4月に買ったばかりの自転車で参加。

アトバシの近くを走るメンバー。振り返れば、いつでも草原の向こうに雪山が見える。交通量も少ない。

イシククル湖の湖岸で遊ぶ子どもたち。バリクチは遠浅なので子どもたちが多い。

道路わきでフェルトを作っている家族。太陽の光を浴びながら、熱心に作業を進めていた。

出会う男の子たちは、馬やロバを自分の手足のように巧みに操る。大きな子供は馬に乗っている。
小さな子どもはロバに跨っているが、「大きくなったら馬に乗りたい」と言っていた。




出発前に作成した情報
現地からの報告
参加者感想文

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